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2015年度「第20回安藤百福賞」受賞者
安藤百福賞 「大賞」
大野 博司(おおの ひろし) 国立研究開発法人理化学研究所 統合生命医科学研究センター 
グループディレクター
業 績 腸内細菌が食物成分を分解して産生する代謝産物による腸管免疫系制御の 分子メカニズムの解明

受賞者は、ゲノミクス(遺伝子)、トランスクリプトミクス(遺伝子発現)、メタボロミクス(代謝産物)などの各種網羅的解析を駆使した「統合オミクス手法」を世界に先駆けて考案し、腸内細菌が腸管免疫系を制御することで生体防御に重要な役割を果たすという概念を分子論的に証明した。ビフィズス菌には、マウスの腸管出血性大腸菌O157感染死を予防できる「予防株」とできない「非予防株」があるが、統合オミクス手法を用いて、予防株が糖質を分解して産生する酢酸が腸管上皮細胞に作用して抗炎症・抗細胞死関連遺伝子発現を増強することで、O157感染による上皮細胞死を阻止し、マウスを感染死から予防することを明らかにした。また、腸内細菌が食物繊維の分解により産生する酪酸が、免疫制御に重要な役割を果たす制御性T細胞の分化を促進し、腸管免疫系の恒常性維持に働くことを発見した。これらの研究成果により食品成分や、腸内細菌によるその代謝産物が生体に及ぼす機能の分子機構が解明されることで、新規機能性食品の開発が期待される。
安藤百福賞 「優秀賞」
柴田 重信(しばた しげのぶ) 早稲田大学 先進理工学部 教授
業 績 時間栄養学の基礎と応用研究

受賞者は、体内時計と食・栄養の関係から「食事をいつとるのが効果的か」を研究する「時間栄養学」を学問として提案し、その確立のために基礎研究と応用展開を行っている。1997年に哺乳動物の時計遺伝子の存在が確認されて以来、体内時計の分子基盤の研究が急速に進み、食・栄養素の働きに体内時計が関与する事が示唆された。受賞者はマウスの実験から、朝食が体内時計をリセットしやすいことを解明し、また、1日1食では太りやすく、1日2食でも朝食のウエイトが多いと肥満防止になることを明らかにし、「朝食の大切さ」にサイエンスとして裏付けを得た。また受賞者は、新しい研究領域であるこの分野において、2014年には研究会を立ち上げるとともに、メディアへの積極的な情報発信にも努めており、生活リズムを整えるために、適切な「時間栄養学」の実践は健康維持、疾病予防にもつながることが期待される。
安藤百福賞 「発明発見奨励賞」
石丸 喜朗(いしまる よしろう) 東京大学大学院 農学生命科学研究科 特任准教授
業 績 酸味受容体の発見

受賞者は、マウスなどのげっ歯類の酸味受容体PKD2L1/PKD1L3を世界で初めて発見した。これは生体内で実際に機能することが実証された唯一の酸味受容体である。また、受賞者は、魚類の味覚受容体とそのリガンド(特異的に結合する味物質)の同定や、げっ歯類の味蕾にあるV型細胞が酸味感知機能を持つことを示すとともに、酸味がV型細胞で受容され、特定の味神経を伝わって中枢に伝達される酸味シグナル伝達路の可視化にも成功した。このことは、酸味受容体PKD2L1/PKD1L3の細胞特性と機能特性を解明するとともに、味覚情報がどのように受容・伝達・認識されるかという「味覚コーディング機構」の解明につながるものである。また受賞者は、霊長類での解析も行い、脊椎動物における味覚機構の共通性と多様性の解析も行っており、酸味をはじめとするヒトの味覚機能の解明に寄与することが期待される。
中井 博之(なかい ひろゆき) 新潟大学農学部 応用生物化学科 准教授
業 績 ヒトの健康保持増進に有用な機能性オリゴ糖の製造開発
 
受賞者は、これまで非常に困難とされてきた多様性に富むオリゴ糖の低コスト大量調製の課題を解決するため、ホスホリラーゼという自然界に存在する安全な生体触媒である糖質関連酵素を活用して、澱粉やセルロースなどの植物性バイオマスや甲殻類由来のキチンなど安価に入手可能な糖質資源を高付加価値なオリゴ糖に高収率変換する低コスト汎用製造技術の開発に成功した。この技術により、希少・新規なオリゴ糖も含め、腸内細菌叢改善作用・免疫賦活作用などヒトの健康保持増進に有益な機能性を有するオリゴ糖を、社会に安価に供給することを可能にした。今後、健康食品素材や医薬品素材としての高度利用による健康増進や、バイオマスの利用による環境負荷の低減などに大きく寄与するものと期待される。
安藤百福賞 「第20回記念特別奨励賞」
鈴木 卓弥(すずき たくや) 広島大学大学院 生物圏科学研究科 准教授
業 績 消化管上皮の細胞間経路の制御に着目した機能性食品の開発

受賞者は、消化管の上皮細胞の間隙(細胞間経路)を調節する食品成分を見出し、その分子作用機序を解明した。消化管の細胞間経路は、栄養素の吸収や異物の侵入を防ぐバリアとしても重要であり、この経路を制御する構造はタイトジャンクション(TJ)と呼ばれている。受賞者は、難消化性二糖ジフラクトースアンヒドライドIII(DFAIII)が消化管のTJ構造の変化を介して、細胞間経路のカルシウム吸収を高めることを見出した。その成果により産学連携によるミネラルサプリメントが販売されている。また受賞者は、ポリフェノールが消化管の上皮TJバリアを増強・保護し、炎症を基盤とする消化管疾患の予防に繋がることも見出した。ポリフェノールの新たな生理機能を分子レベルで解明し、TJタンパク質の1つであるオクルディンの普遍的な機能制御を解明した。これらの研究業績は、新たな機能性食品の創製による健康寿命の延伸に貢献するものと期待される。
益崎 裕章(ますざき ひろあき) 琉球大学大学院 医学研究科 教授
業 績 玄米由来機能成分、γオリザノールの作用機構の分子栄養学的解明と 生活習慣病予防・健康寿命延伸を目指す食品開発

受賞者は、玄米に特有に含まれる機能成分、γオリザノールが脳に作用して動物性脂肪に対する依存を緩和し、健康的な食に回帰させる食行動変容効果があることを発見した。動物性脂肪の過剰摂取は食欲中枢である視床下部に小胞体ストレスを誘導し、高脂肪食への依存を招くが、γオリザノールは小胞体ストレスを抑制し、高脂肪食依存の悪循環を断ち切る効果を持つことを世界で初めて実証した。また、γオリザノールが膵臓のインスリン分泌細胞に直接的に作用し、糖尿病の予防や改善効果を発揮することも証明した。一連の基礎的研究成果を踏まえ、科学技術振興機構の支援事業(A-STEP)の産官学連携事業によりγオリザノールを高含有する新規の発酵飲料を開発して肥満症予防・改善に資する補助食品の実用化にも成功した。天然食品の作用機構の解明を健康寿命の延伸に結び付ける独創的な分子栄養学的アプローチを展開しており、新たな食品開発が期待される。
岸本 賢治(きしもと けんじ)株式会社キシモト 専務取締役
平岡 芳信(ひらおか よしのぶ)愛媛県産業技術研究所 食品産業技術センター センター長
藤田 雅彦(ふじた まさひこ)公益財団法人えひめ産業振興財団 専門員 
業 績 骨までも柔らかく食べられる干物「まるとっと」の開発
 
受賞者らは、産学官民の共同開発により骨の軟化技術を利用した魚介類の加工品を開発した。骨を柔らかくする基本技術は、愛媛県産業技術研究所が開発し、商品化にあたっては、福祉系大学や高齢者施設などと協力し、試作、モニタリングを繰り返しながら、干物製造業の(株)キシモトが商品化した。噛む力飲み込む力が弱くなった高齢者でも骨を気にせず食べることができるよう商品設計しており、高齢者施設での利用の他、若年層の魚離れを防止する食育効果もあり学校給食にも展開している。また骨まで食べることでカルシウム摂取量が増え、塩分濃度も抑えることにも成功しており、健康寿命の延伸に貢献するものと期待される。
西道 隆臣(さいどう たかおみ) 国立研究開発法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 
シニアチームリーダー
業 績 「次世代型アルツハイマー病モデル動物」を用いた認知症発症リスクを減少させる機能性食品の開発

受賞者は、世界で初めて前臨床性アルツハイマー病を忠実に再現するモデルマウス(次世代型アルツハイマー病モデル動物)を作製した。これまでアルツハイマー病研究に用いられてきたマウスは、脳内のアミロイド蓄積が、アルツハイマー病患者とは類似性が低く、適切なモデルマウスとは言えなかった。受賞者は、遺伝子を置き換えるノックインという手法を用い、アミロイド前駆体タンパク質の過剰発現が起こらず、前臨床性アルツハイマー病病理を完全に再現するモデルマウスの作製に成功した。また次世代型アルツハイマー病モデル動物を用い、アルツハイマー病発症リスクを低減する機能性食品の開発にも取り組んでおり、健康寿命の延伸に貢献することが期待される。
平林 義雄(ひらばやし よしお) 国立研究開発法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 
シニアチームリーダー
業 績 糖脂質に対する新しいGPCR受容体と老化作用
 
受賞者は、脳組織に特徴的に存在し機能的に重要な生体膜脂質である糖脂質(糖セラミド)の合成に関わる3つの代謝軸(グルコース代謝、アミノ酸代謝、脂肪酸・ステロール代謝)の統合的理解という独創的な発想から、各代謝軸の連結により合成される一群の新奇グルコース関連微量脂質を見出した。その中の代表例として、リゾ体の糖脂質(リゾホスファチジルグルコシド)は、7回膜貫通型GPCR受容体(GPR55)の内在性リガンド(特異的に結合する物質)として細胞間シグナル伝達機能に関わることを世界で初めて示した。そしてGPR55の遺伝子欠損マウスは高脂肪食を与えても太りにくく長寿の傾向を示していた。脂質のグルコース化反応は、脂質全体の代謝バランス、ホメオスタシス維持に重要な役割を演じており、生活習慣病を予防する機能性食品への応用など、健康寿命の延伸に貢献することが期待される。
 
 
 
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